キズミを「傷見」として使用する方。

「キズミよる仕上げチェックは行っておりません」と。

最近、受付フォームに記載しております。

意味はキズミを「あら探しの道具」として使用する方が居ます。便利な道具も使い方しだいです。
職人では無い私などは繊細な部分をチェックする事もないですから
普段は「2.5倍」のキズミを使っていてそれ以上の物は持っておりません。

倍率が3倍以上の物になると見える範囲が狭すぎて目に付けたままの作業が困難になる理由もあります。
キズミを販売されている方と話すと「5倍以上がよく売れる」から高齢者が多いと思っている様です。

確かに一般の方は目に付けたまま作業する事はなく、拡大して見るだけならキツイ方が良いでしょう。
文字盤上のインデックスや針を拡大して見る世界は楽しいものと思います。

これは10倍以上のものが多いですが宝石用。

これで「文字盤の汚れチェック」をされたのでは、こちらたまりません。
「一度ルーペで見つけると肉眼でも見える様になり」気になる様です。

作業の流れとして綺麗になったケースにムーブメントを戻してガラス越しにホコリをチェックします。
ホコリがあればサイド「文字盤&ムーブ」を取り出して塵吹きやロデコで除去します。
ところが文字盤の材質によって吹いても飛ばない物、拭いたら跡が残るもの。
中にはまるでシールののり面の様に、振れると指紋がついて拭き取れないものもあります。
これだけは出してみないと分からないのですが。

ただ「文字盤&ムーブは頻繁に出し入れする事が前提の構造」ではありません。
職人さんなどは空気清浄機の効いた部屋で作業されておりますが、こちら国道沿いの空気清浄機も無い店です。
ホコリを除去した積もりが組み立てたら見つかる事も多々。あまりにも目立つ物はサイド文字盤&ムーブを取り出しで除去しますが度に「針が曲がったり・文字盤に指紋やキズが付く」などの危険にサラされます。

これをキズミやルーペで見て「拭き取り忘れのホコリが見つかりましたので除去をお願いします」と返送してくる方が居ます。

こちらとしては再度「文字盤&ムーブ」を取り出す事になると指摘のホコリは取れても作業中別のホコリが入る可能性大です。いつまで経っても作業が終了できなくなる事もあり、そのうちに文字盤に更に指紋が付いたり状態が段々悪化する可能性が大です。だから適度に切り上げて発送する訳ですが、それを送り返され対応していたらキリがありません。
これを別途費用「5.000円」でも出すので丁寧に拭いて欲しい。という方もおりますが費用で解決出来る事ではありません。丁寧に作業をやり直す程、悪化します。
強いていえばOHで30.000円以上は掛かるお店に出してみてください。
設備が整っておりますので完璧な作業が期待出来ると思います。
(もちろんOHで依頼の料金ですが、埃取りのみでも5.000円も出せば受けて貰えるかもしれません)。

もっとも搬送中の振動で到着時に文字盤にホコリが付着して居る事もあり対応出来る物はしております。
ただ断る場合は「除去する行為に弊害がある事」ご理解下さい。
過去の例では「拭き取り忘れという単純なミスに何故、対応が出来ない?」と。

ルーペ・レベルのホコリが気になる方は「電池交換のみコース」をお勧めします。
また「分解掃除(OH)」もお受けする事が出来ません。

それは「分解修理」でお預かりの場合は更に厄介。OHは職人さんに出しております。これを
職人さんに「お客様がルーペで見たらホコリが残っているので除去の依頼です」と言えば。
私と職人さんの人間関係が崩れていきます。

30年、時計店の店頭にたってお客様と接し数々のクレームにも対応してきましたが、ガラス内のホコリ・秒針のズレは指摘された事が無く余計に不思議でもあり滑稽にさえ感じます。これもパソコン&ネット社会に移行して正確性が普通になってきた事が原因の様で価値観の変化とでも言いますか。ただあまり指摘が目立つとネットで修理受付するお店が減ると思われます。

言い換えれば「ガラス内のホコリや針のズレは完璧に仕上げます」と謳えば
高額での修理どころか電池交換でも依頼はあると思います。そして
職人さんなら技量も設備も整っているでしょうから難しい事では無いでしょう。
残念ながら私は職人では無く技量と設備不足から謳えない言葉であります。