時計の電池交換/LUMINOX Series 8360

2012年10月29日お預かりのLUMINOX Series 8360電池交換メンテナンスです。短針のズレの修整もご依頼です。

ステンレス無垢バンドに三つ折れダブルロック。

微調整部分の位置をチェックしておきましょう。確かに短針がずれております。何か衝撃でもあったか?

ベルトごと洗浄でバックルも綺麗に。

裏蓋はスクリューバックで右が裏蓋記載。

ラグ部のバネ棒も洗浄して綺麗になりました。

裏蓋の裏側もチェックして。

これがムーブメントで。

ムーブメント拡大。

竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。

竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。

これが取り出した文字盤&ムーブメント。先ずは秒針から外しますが秒針を触ると長針が動きますから連動しておりますね・・。

針は外して。

LUMINOXの針ですが夜光は裏側から貼ってあります。この時計だけではなく殆どがこうなっております。これが剥がれて引っ掛かって針がずれるパターンが多いですが、これはそのパターンではなそうです。

針の位置を修整しながら取付。

ところが秒針のみ先端が下がってしまう??

針というのは薄い板です。そしてクォーツでは微弱な駆動力で運針させるので殆どの時計〔メーカー)でアルミで出来ておりますが。

今回の秒針。外した時に歯車の軸に刺さる筒状の部分が外した時に”もげた”様で。これはもう秒針の交換しか対応不可ですがパーツの入手は不可。

ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。

綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックします。

全体的にツヤが出て綺麗になりました。

さて秒針ですが左の写真では取り付けた様に見えますがガラスに乗せただけ(;^_^A。
つまりは除去してしまいました。秒針は”小秒針の右側”、つまり動作の確認は出来ます。
外した針はクロノグラフですから普段は止まったままの針。
短針がずれたのは衝撃では無く秒針が上下して擦れた影響。
となると外しておいた方が再発の可能性もないでしょう。

「クロノグラフの秒針の取り寄せが出来ない」のでこれが精一杯ですか。

とこのまま発送しましたが到着後。「外れたのは仕方がないですが、せめて取付だけして欲しかった」というメールが来ました。

お客様からすれば、そう思うのは理解出来るのですが。こちらも取付できるならそうしている訳で。「針の中央、軸の部分が軸の大きさでポッカリ穴が空いている状態」でして。
これはもう再生は不可で「針の交換」しか方法がありません。
ただ「ブランド腕時計の部品の入手は不可」ですから申し訳ないですが「クロノ針(センター・セコンド)は外れたまま発送するしか無かったのです。

ところが!後日、職人さんにこの話をしたら「接着したらええがな」って事で、お客様にメールして再度、送って頂くことに。

取付完了。職人さんとしてはムーブメントから出て来た軸に、針のハカマが刺さっている訳で。現状は「ハカマだけが軸に残って、針には穴が空いて抜けてしまった状態」。
これを軸に残ったハカマを外して針の穴の空いた部分をかしめる。
と言うのですから私も驚きました。昔はそうやって来たものだと。高齢者の職人さんですからこういう所が味ですか。

ただ、ハカマが錆び付いているのか外れません。簡単に取れるならこうは成らなかった訳で。
私もガッカリ。お客様には折角、再送頂きましたが答える事が出来なかった。
と思った時、職人さん。
こうなれば仕方が無いわ「かしめ」はあきらめて接着するか。そのかわり余り動かしたら外れるかも知れないがと。

拡大すると中央がガタガタしておりますがパッと見は分からないレベル。
職人さんには感謝感激。普通ならこういう事はして貰えません。
動かしたら外れる可能性のある修理・触ってそれこそダメにしてしまう可能性もあります。
この辺りが職人さん、私を理解して頂いて
「リスクを了解して頂けるなら何でもやりましょか!」
って発想ですね。
よって「最悪、針は歪んだり、黒ずむ可能性」もありですが「それは困る!」と言われたら触れない作業でもありました。

取付完了。お客様にも大変喜んで頂けました。
状況からは「壊したのはお前だ!新品部品に交換しろ!」って
言われても仕方がないので、こちらも感謝感激。
「また友達にも紹介しておきます」とメールが来て穴があったら入りたい心境でした(;^_^A。

今回は偶然優しい方で救われましたが、そうでない方の兆しが少しでも見えたら、どのような高価な修理でも。ましてや電池交換のみなら余計に、受付前に”徹して”断る事にしております。

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