電池交換では動かなかった時計/G-SHOCK AW500/380

2015.11.13お預かりのG-SHOCK AW500/380電池交換メンテナンスです。
もうこのモデルは「電池交換しても不動の物が多い」。
まして他店で”不動です”と言われたものはこちらでも不動です。
よってお断り致しましたが、どうしてもという事でお預かり。

ただし「不動でも3.100円」掛かります。というご了解を頂いて。

この「AW500」という型番を見ただけで「無理!」と反射的に感じる型番ですが。
それだけ、加水分解寸前の物が多い。
この型番で、これだけ状態が良い物は初めて見ました。
それだけにお客様も、他店で「液漏れのために不動」と言われても納得が出来ない理由も分かります。

遊び革の状態もチェックします。ベゼルとブレスは今ネットで出回っている”レプリカ”なのかも知れません。綺麗過ぎます。

でもケースや裏蓋のステンレス部分も綺麗な状態。

ブレスを外して。

ベゼルの内側をチェックして。

こうしてみると「未用品という訳でも無い」

裏蓋の裏側もチェックして。

裏蓋を開けるとスペーサーがムーブメントを覆っています。

これがムーブメントですが湿気の跡が。スペーサーとムーブメントの隙間に浸水によって、へばりついた跡が。

ネジの部分には青い錆びた粉が。キズミで見ると、ココだけでは無く随所にサビは見られます。

電池格納部をチェクします。この部分の液漏れをとことん乾燥させれば動くのでは?というご依頼でもあります。

絶縁フィルムが覆っておりますから取り外し。若干の湿気はありますから綺麗に拭き取ります。

マイナス端子も拭いて、プラス端子が接触する端子も錆びております。
ムーブメント側の接触部分も水滴がついており拭き取ります。

これが取り出した文字盤&ムーブメント。

ケースの内側もチェックして。流石にケース内に湿気は残っておりません。

裏蓋を閉め洗浄レベルでの水漏れは無いかチェックします。
でもガラスの内側、目盛リングがある当たりが白く曇っております。
これは目盛リングがあるので綿棒も届かず拭けません。
無理に拭くと目盛りが消えたり、黒い部分の塗装が剥がれます。

ケースの洗浄は終わって電池格納部をチェックします。

ガラスの曇が気になりますが、すでに乾燥しきった状態でもあります。
言い換えれば、それだけ湿気が入ってムーブメントにダメージがあった証拠。
液漏れは電池のせいでは無く、ムーブメントが湿気に包まれた為でしょう。

絶縁フィルムも両面拭いて戻します。

ムーブメントの湿気の痕跡も拭き取って。電池を入れて動作確認ですがはやり不動。
瞬間的にデジタルが表示しましたが、一度だけ。
という事は導通はある訳で。再度ムーブメント取り出しで数日間乾燥させてみます。

五日間ほどムーブメント取り出しで乾燥させ、毎日電池を入れて動作確認してみますが反応は無く。

予想通りの返却となります。いくら費用は掛かると告知したとはゆえ
お金を頂く以上は「出来れば動いてくれたら」と思いますが結果は残念。
でも普通に電池交換メンテナンスするよりも手間は掛かることはご理解ください。
動けば手間の苦労も吹っ飛ぶわけですが。

修理を受けるところは無いと思われますので「内部は生きて外装がボロボロのジャンク品」をネット調達してムーブメント交換しか手段は無いでしょう。
気長にオークション出品を待つ事が近道か。

「TAG HEUER1」 「TAG HEUER2」 「TAG HEUER3」 「電池交換全般」