機械時計のメンテナンス/TAG HEUER CT21111 Automatic

2010年11月お預かりのTAG HEUER CT21111 Automaticメンテナンスです。

ベルトが外れているので「かしめ修理」もご依頼ですが「LINK」のバンドはかしめ修理では無い。

かしめ修理のピンに見えますが右の写真のピン(パイプ)の先に長い頭のネジが付きますがそれが錆びて折れて紛失されています。余りコマが無ければどうしようもありません。

裏蓋はスクリューバックで右が裏蓋記載。

先ずは壊れた箇所まで外しますが端のコマはCリング式。

異常はない下のコマですが右写真の様に右側のコマにへばりついている。

これがネジの頭の写真。右の写真の様にパイプにネジ止めされています。

サビをチェックします。右の写真ですが本来はベルトにカーブが付かないくらい遊びが無いものですが全体に緩んでいるようです。実際問題コマは全部分解しましたが殆どでネジは抜けているかサビがひどい。よって締めても緩めても折れそうな物ばかり。

よって「ベルト毎交換」しか方法はありませんが専用バンドは35.000円ですからね。直すしかありません。

これがムーブメントで。

裏蓋の裏側もチェックします。

コマを全て分解でチェックの様子ですがラグ部から3つは”かしめ構造”になっていましたのでかしめ修理で対応。

ベルト調整部分は端のコマを抜くと簡単に上へ外れます。パイプにネジ止めの様子が分かりますね。

上から見ればこうなります。

反対側の外れていない側もチェックします。

ここはかしめ修理ですか。

竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。

竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。

これが取り出した文字盤&ムーブメント。

ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。

 

竜頭パイプですが回せない程でしたから錆びてコテコテだったものを洗浄しました。あとでグリスアップしておけば竜頭は軽くなるでしょう。

ネジを紛失したコマですが抜いて見ます。ネジの頭のネジの部分が錆びて折れてパイプの中に折れ込んでいる。余りコマ無しということで。

バネ棒のパイプを使って補強。

削って長さ調整。残ったピンに継ぎ足します。

こうなればOKですが継ぎ足し部分がコマの狭い方の穴に通らない。

コマの穴をドリルで削るしかありませんが、所詮間に合わせ修理。強度の保証は無し。接着剤補強は必須ですから接着力アップの為にも汚れ落とし。洗浄過程があるからこそ出来る補強でもあります。では先ずは洗浄作業。

綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックします。

全体的にツヤが出て綺麗になったところで。

ベルトを取り付けメンテナンス&ベルト理完了です。今回の場合は何とかなりましたが「TAG HEUERのベルトは何でも直す店」という解釈は早合点。たまたまのラッキーで偶然ですね。それに接着剤補強ですからこれでハンマーやはつりなどの作業をしたら一発で緩むでしょう。ちなみにクロノグラフの時計はOHとなると10万レベルです。クォーツでも5万くらいですか。クロノグラフが無ければ半分以下ですから購入時に思案のしどころですね。

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