時計の電池交換/GRAND QUARTZ 9256-5000

2011年8月11日お預かりのGRAND QUARTZ 9256-5000電池交換メンテナンスです。
出来れば「OHもご依頼です。」ただ到着時から「2秒運針」、でも時間はあっております。以前に近くの時計屋さんで電池交換で持ち込んだ時に電池蓋が開かないので大きな蓋を開けて交換してくれたとか。

ところが電池蓋パッキンも交換してくれるハズが、内部の状態が良くないので「電池交換のみ」という事でパッキン交換はして貰えず不信感を持ったとか?

私に言わせればそれでは、その時計屋さんが可愛そう。「電池蓋パッキンはレア物」です。OHのご依頼の時などに置いておきたいのが心情。数百円費用を頂けば交換しますって物では無いのです。「そのパッキンがあれば15.000円〜20.000円の修理が受付出来たのに・・・」の世界ですからね。

ステンレス無垢バンドにスライドバックル。

裏蓋は”はめ込みタイプ”で右が裏蓋記載。

ラグ部の状態もチェックします。ラグ部が片側だけ汚れていると言う事は前回、お客様が持ち込まれた時計屋さんとは反対側から開けた様です。

ケースの内側もチェックします。

これが取り出した文字盤&ムーブメント。

サビや汚れが目立ちます。

竜頭の裏側は洗浄で綺麗になりました。

竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。

電池蓋パッキンは噛んでおりますね・・・。ゴムが硬化して滑らないので蓋の回転でよれましたね。このタイプの電池蓋は開けて裏側からみたらよれていることが多い。かといって電池蓋を閉めてから大きな裏蓋を開けて確認する訳にもいかず。このタイプの裏蓋が消滅していった理由かもしれません。ちなみにSWTCHは電池蓋パッキンではなく「ゴムの蓋」ですからよれようが無い。

これがムーブメントですが。

液漏れの跡。これでは何時止まるか分からない。それに回路の事を考えるとOHしても回路不良が怒ればお客様からみれば「直っていない」。となるとOHまでは出来ない=費用は頂けない=電池蓋パッキンは勿体ない。「電池交換のみでとりあえずは使えますよ」でお渡しするしか無いのです。

ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。

裏蓋というかケースも洗浄して綺麗になりました。

ムーブメントを戻してパッキンも戻します。この文字盤周辺のパッキンが劣化したらもうお手上げです。

電池蓋パッキン交換。

ベルトも洗浄してピッカピカ!

ベルトを取り付け電池交換メンテナンス完了です。そして職人さん送りです。10日ほどで戻って来ましたがやはり「2秒運針は戻らない」回路交換をしない限り無理だそうですが。もう部品が有りません。でも結果は「OHは完了しておいた」と。ただOHしても2秒運針が直らないのと原因が回路で有る限り何時止まってもおかしくないので費用は頂けないと。

結果的に職人さんには手間だけ掛けさせ悪い事をしました。職人さんもある程度はそうなる事を承知でしょうが、何もしないでは私がお客様から「電池交換+洗浄3.000円」の手間も無駄になると気を使って頂いたのでしょう。
お客様は不信感を持ったとは言われますが時計屋も事情があってのこと。お客様に罪はありませんが「たまたま、この症状になっている物を所持した不運ですか」それはお客様には分からないでしょうが。この症状では持ち回る先々で厄介を掛けることになるでしょう。

このお預かりで「古い物を預かるのは最初から断る店が多いのも分かる気がします。」「関わったが為に私も大変な手間」と感じた次第。これもこの解説が無ければ時計屋というものに不信感を持つことになるのでしょうね。

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