時計の電池交換/TAG HEUER CG1122-0

2012年11月27日お預かりのTAG HEUER CG1122-0電池交換メンテナンスです。

ステンレス無垢バンドに三つ折れダブルロック。余りコマも同梱ですが今回は使うことが無かったです。

 微調整部分の位置をチェックします。

ベルトごと洗浄でバックルも綺麗に。

裏蓋はスクリューバックで右が裏蓋記載。

裏蓋の裏側もチェックして。

これがムーブメントで。

ムーブメント拡大。

竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。

竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。

これが取り出した文字盤&ムーブメント。

パッキンを外して汚れを拭き取ります。ガラスの内側に目盛リングがありますから裏蓋を閉めて洗浄します。

ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。

綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックします。

パッキンは交換してシリコン塗布をしてケースに戻し外したパーツを戻していき電池を入れて動作確認。

0位置合わせを行って。

かしめ修理も完了したところで。

ベルトを取り付け電池交換メンテナンス完了です。ところが「到着したらかしめが外れていたと」?。再度、送って頂きまして。

到着いたしました。見事に外れている。でもコマが緩んではいないな・・・???

何と外れたコマのピンが本来の長さよりも短いでは!これではコマに届かない。こんな事もあるのですね・・・。届かないと留まりませんから、かしめ修理でかろうじて端が噛んでいたものと。

そう言われてみれば気にしなかったですが「ピンの仕上げが粗かったなと」コマは普通ですが製造の年代や下請けに出した場所が違うのか?予備コマも全てのコマのピンの表面が粗い。そして写真の様にピンが金色であったりする訳ですが、こういうピンは見た事がない。
かしめ修理で「ピンを抜いてチェックまでしていたら手間は倍ではきかない」。よって今後もこいう事は起こりえます。このページをご覧になった方しか分かりませんが。

今回は「予備コマ」も送って頂いて入れ替える事に。

それには先ず、端のネジピンを抜きます。

これで準備完了。

端からバラシテ行きます。予備コマに入れ替えて行きますが「写真のコマ」。ピンが入る穴にCリングパイプが埋め込まれている。なるほど・・・こんな方法もあったのか。

これで大丈夫、ご迷惑おかけしました。ところが再度「不具合のメールが」

「ストップウォッチを止めてリセットすると赤と白い針が揃わない」という事ですが、これはこのモデルの電池交換で何度か経験しておりますから、何か備わった機能の気がします。わたしは取説も持っておりませんから、分かりません。
仮に不具合であったとしても、こちらで修理は不可です。
また「電池交換前は異常がなかった」と言われても困ります。

そして次ぎに「ストップウォッチの操作で、たまに何かのタイミングでプッシュボタンが効かなくなりストップできない」という不具合も。
これはプッシュボタンが当たる、ムーブメント側の「レバーが曲がってしまった」か「レバーが折れた」等の症状です。
ただこちらでは普通に「0位置合わせ」を行っていると言う事は全てのプッシュボタンを触って正常であったから出来た事ですから、問題無いと思います。
これも、もしこちらで「0位置合わせ中に折れる可能性もあります」
そこまで言ってたら電池交換後「時間合わせも、0位置合わせも無し」で発送するしか無くなります。

もっとも、この方の名誉の為にも決して上記の様な不具合をクレームで言って来られた訳でもなく、責任を求めておられる訳でもなく。紳士的なご対応で助かりました。
まだこちらが電話で、声を上げてしまい申し訳なかったと反省しておるくらいで。
ただ、この症状は今後も起こりえますから参考例として記載しております。

さてもう一つ。「左下のプッシュボタンの出っ張りが異常」ということですが。それは、こちらが診ないといけませんから再度、送って頂きました。
確かに異常に飛び出ております。
これも「電池交換メンテナンス時ににチェックしなかったのか」と思われても自然です。
ただ、こちらではこの症例は始めてで過去にもチェックした例がありません。
「プッシュボタンが動かないとか、押し込めない」場合は別ですが。

さて「プッシュボタンの飛び出し」ですが内側からチェックします。

これはプッシュボタンの内側から留めたネジが緩んでおります。0位置合わせでは普通に機能しましたのでノーチェックでしたが。
一番上の写真(到着時の写真を見ても既に飛び出しておりますね)。

こちらで再度、プッシュボタンを押してストップウォッチの動作を確認してみましたが、タイミングで左下のプッシュボタンが押さえ込まれたままになるのか「空振り」というか効かなくなります。
0位置合わせでは左下のプッシュボタン長押しで「白い大きなクロノ針」が送られますがグルグル回ったままになります。
となると再度「ムーブメント取り出し」をして。

このプッシュボタンが当たるレバーをピンセットで持ち上げる作業をしますが、こんな事何度もしていて、折れたらこちらの責任ですからあまりやりたくは無い作業。
もし「折れた場合は、諦めて頂くしかありません」
現在の職人さんなら直してくれるかも知れませんが「針も文字盤も外して、分解修理」になりますから費用も掛かります。

やはりプッシュボタンが元から飛び出ていた分、隙間が出来たまま使用していた訳で湿気が入っております。
プッシュボタンが当たるレバーはシーソーの様な動きをします。
その動きは上下の金属板の隙間で動くために摩擦が生じますから
「表面にサビが浮くと滑らず押し込まれたままになります」。

本来はツヤがあるパーツですが、くすんでいるのを見ても湿気の侵入が影響しているのが分かります。
クロノグラフはプッシュボタンにもパッキンがありますが、それも替えてこその防水機能。
裏蓋パッキンや竜頭パッキン。更にプッシュボタンのパッキンです。
こちらに交換パーツはありません。メーカーのみですから防水機能を求める方はメーカー修理しかありません。

今回の場合、ご希望で「プッシュボタン・レバー」の修理まで行いません。
でもプッシュボタンは押せます。つまり間違って押してしまったら押し込んだままになり、針が回ったままになる可能性もあります。
ムーブメントの取り出しを自分でしないと止められません。
そこで「接着剤で固定しておきましょうか?」と提案しようかと
電話しましたが出て貰えず困りました。
後日、メールの受信と同時に電話したら出て頂いて、
接着剤固定を提案しましたが不要という事で発送です。
ただ「左下のプッシュボタン」に触れない様にしながら使用するのは、かなりの無理があるとは思いますが。

今回の流れからある程度仕方がありませんが、この状態。こうやって写真で解説しながら理解も早いと思います。ただこれを「随時、メールで解説」を求められると、こちらの手間が掛かり困ります。こういう時の為に「電話番号の記載を求めております」。

メールで「不具合で修復不可」でご理解頂けるのら電話も必用無いですが。

「TAG HEUER1」 「TAG HEUER2」 「TAG HEUER3」 「電池交換全般」