時計の修理受付例/OMEGA Seamaster 自動巻 Chronograph
2012年10月22日お預かりのOMEGA Seamaster 自動巻 Chronograph分解修理です。
ステンレス無垢バンドに三つ折れプッシュバックル。
バネ棒やバックルの汚れもチェックします。
裏蓋は”はめ込みタイプ”で裏蓋の裏側もチェックして。
パッキンを外して汚れを拭き取ります。
全く動きませんが職人さんに送る前にメンテナンス。
角度を変えて。
竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。
竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。
これが取り出した文字盤&ムーブメント。
ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。目立たないように研磨したので写真では分かりにくいですがケースの側面にかなり大きくえぐれた打ちキズがありまして。かなりの衝撃があった事を物語っております。
綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックします。
裏蓋も洗浄して綺麗になりました。
ブレスも洗浄して綺麗になったところで。
ベルトを取り付けメンテナンス完了で職人さん送り。何でも衝撃で全体が歪んでいたとか。分かりやすく言えば「屋台骨が菱形に変形して歯車が垂直が保てない状態で入っている」とか。凄かったのが”がんぎ車”がホゾから飛び出て地板の天井を突いていてホゾが折れない様に取り出すのが苦労されたとか。
基本的には「ムーブメント交換」しかないものを全てのパーツの歪みを修復しながら分解修理になったとか。数日動作確認のあと最後に文字盤を取り付けたらセンターまでがずれていて、また修整。各パーツの歪みを修整して折れる度に注文という気の長くなる作業だったようで、わたしも途中の作業を見学しておりましたが、高齢の職人さんってこういう事が出来るんだ・・・・と感心して見ておりましたが。
私なら「ムーブメント交換しか不可」と逃げるな・・・と見ておりましたが結局「分解・組み立ては8回に及んだと」その根気力に脱帽ですが。分解組み立てに慣れて居てこそですか。
というか「職人の心意気!」ってところよ。ってまさに昔気質を見せて頂きましたね。
写真でみたら素っ気なく苦労は全く伝わらないのですが。
あれは撮影しながら出来る作業では無いと感じた次第。
職人さんからすればムーブメント交換しても金額が張るだけで薄利ですから出来た作業でもありますか。しかし、どの部品も厳密には垂直には戻っておらず次回は衝撃は小さくても不具合が出るだろうから気をつけてという事でした。