時計の修理受付例/TAG HEUER S29.006
2012年8月22日お預かりのTAG HEUER S29.006電池交換メンテナンスです。ただ「曇りだして遅れ出してから動かなくなった」という事ですが、症状的には致命的。分解修理で動くのか?が問題。「修理代金20.000円」までと言う事で職人さんに伝えます。
TAG HEUERの化粧箱で到着。
ガラス越しにみても凄い湿気とういうか浸水ですね。
ステンレス無垢バンドに三つ折れダブルロック。
微調整部分の位置をチェックしておきましょう。
裏蓋はスクリューバックで右が裏蓋記載。
裏蓋の裏側もチェックして。
これがムーブメントで。
ムーブメント拡大。
パッキンを外して汚れを拭き取ります。
竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。
竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。
これが取り出した文字盤&ムーブメント。
プッシュボタンはサビで折れるかもしれません。こうなると「ムーブメント交換」しか手段がありませんが軽く5万円は掛かります。またこのデジタル部分はムーブメント交換をしない限り諦めて頂くしかありません。
本来ならこの時点で「20.000円では無理という事で組み立てて返却。」ですが、デジタルを諦めるなら20.000円で何とかなるか?と職人さんに見せる事に。
ムーブメントのサビも反対側は綺麗。
かしめ修理も必用です。
ケースの内側もチェックします。まだサビは回っておりません。裏蓋を閉め簡易防水テストがてらの洗浄。
ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。
電池もサビが付いて連れて液漏れ現象が始まっております。
綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックします。
電池格納部をチェックしまが、電池のサビが落ちておりますね・・。
パッキンは交換してシリコン塗布をしてケースに戻します。
かしめ修理も完了、全体的にツヤが出て綺麗になったところで。
ベルトを取り付け電池交換メンテナンス完了ですが秒針がピクピクするのみ。職人さんに託しますが、「20.000円では最初から触らない方がマシ」とそっけなく。
「分解して見積の手間賃は私が持ちます」と説得して、診てくれましたが。やはり修理で何とかレベルでは「ムーブメント交換」レベルらしいので返却となります。
職人さんにあとで手間賃は請求下さい。というと「それではあんた丸損」だろうから手持ちのムーブメントで良ければ「工賃込みの25.000円」でやってあげるからお客様に聞いてみなと言われ。ただ「デジタルは無いムーブメント」ですからデジタルの窓からムーブメントの地板がむき出しになるけどね。と(;^_^A
お客様も「25.000円払うのだから店の保証を付けてください」という事で。元々、修理預かりは保証しております。ただ「防水機能」については無理ですが。
さて戻って来ました。デジタルが無いとはゆえこのムーブメント交換で25.000円は安い。普通なら35.000〜40.000円は頂きますから。
デジタル付きムーブメントは入手も出来ない事もありますが、今回は「職人さんの手持ちムーブメント」と言う事ですが、デジタルの窓から地板とカレンダー板が見えております。(;^_^A
時計自体の動作は「ムーブメント交換」ですから安心ですが、言い換えればムーブメント交換しないで、現物の修理では保証が出来ない状態だった様です。
「電池交換+洗浄3.000円コース」+かしめ修理+ムーブメント交換で25.000円。デジタルは無くなりましたが「時計機能メイン」なら問題は無いでしょう。
今回は私、職人さんとお客様の間に入ってご迷惑おかけしてしまった様で。今後は早い時点で断るのが一番と勉強させて頂きました。「何とかしてあげようというお節介で、結局人に迷惑を掛ける性格を直さないいけませんわ」