時計の電池交換/Chopard Happy Diamonds K18

2012年4月日お預かりのChopard Happy Diamonds K18電池交換メンテナンスです。私ら田舎の時計屋にとっては、いっったい幾らの腕時計なのだ?というレベル。「18金にダイヤ巻き」つまりはサイト記載している「高額品はご遠慮願います。ネットでのやり取りにはリスクが高すぎます」と書いてある正にその腕時計。一限さんなら断りますが常連の方ですから。NC・NRはご理解頂いてお預かり。かといってこのクラス物を「ガラスが壊れました。ゴメンサイ」という訳にもいかず、そうなったら何十万の弁償。電池交換代金、10.000円頂いても割に合わない受付ですから何処でも断るでしょう。

2本届いたうちの1本。もう1本のエルメスは簡単に電池交換メンテナンスしましたが、こちらはそうは行きません。以前に雑貨ウォッチで「同じタイプの電池交換をしました」が。構造は同じ、この場合は「ゴメンサイ」で済ませて頂きましたが(修復の方法が無いので仕方がありません)この時の背筋が凍る感覚が蘇り「作業するかどか?」1時間くらい悩んでおりました。

ガラスの内側にガラスがある構造でこちら本物ですから、カッチリはまっているのでそうは簡単には割れる事はないでしょうが。

18金無垢バンドにブレスバックル。

裏蓋は”はめ込みタイプ”でもちろん18K.

竜頭は無く裏蓋のプッシュボタンで針をモータードライブで動かします。

開け口が・・・。

ありません。無いという事はありえないのですが開け口がガラスのツラから潜り込んでおります。という事は工具を無理に差し込むとガラスに亀裂が入ります。

裏蓋を開けるとワンピース構造で文字盤&ムーブごとポロリと出て来ます。

これが取り出した文字盤&ムーブメント。緊張感でシャッターを切る指が震えてピンボケ。て事もないのですが。

超高級品を1円玉と並べるのも失礼なのかもと(;^_^A。でもかなろ小さなムーブメントで有ることが分かります。

裏蓋(ケース)の内側もチェックします。「18K750]の刻印」が。

これがムーブメントで。

ムーブメント拡大。ムーブよりも電池の方が大きい、これセイコーのティセにも同じ様なムーブメントがあります。このムーブ職人さんでも触るのを嫌います。それだけ小さく修理すにも手間が掛かり過ぎる訳です。

この後、裏蓋しめが大変。なんたって指で閉まらない。どうしよう・・・・

「工具=ガラスに亀裂」が浮かび、なるべくなら指で収めたいですが・・・。

全面がガラスなのでコマの当てようが無い。ベストはリング状のダイヤ所にコマを当てればガラスが割れる事はありません。ただそんな小さなコマは無し。(1円玉よりも小さいサイズですから)そこでプラスチックを加工して30分、コマを作りました。裏蓋をキズミで見ながら0.1ミリ単位くらいで工具でプレスしていきますが締まった時には冷やせタラタラ。

何とか無事に電池交換メンテナンスは完了で動いております。ところが綺麗な状態ではありますが、逆に使っていないので時計が暖まる事が無く油が回っていないのか?。
長針が「40分〜45分」辺りで引っ掛かります。裏蓋のプッシュボタンを長押しで針がグルグル高速で回り出します。それで時間を合わせをする訳ですが40分辺りでブレーキが掛かる様に減速します。

プッシュボタンを一押しで長針が1分ずつ飛ぶように動く構造ですが40〜45分の所は3回押しても1分の幅も動かず小刻みにしか運針しません。おそらく以前に何か衝撃があったのか?その辺りのギアの油切れか?何かの理由でその位置での歯車の噛み合いがスムーズでは無いもよう。これだけ小さいムーブですから歯車も小さくて極端に薄い物である事は想像できますから、少しの衝撃で変形するのかも知れません。小さく薄いだけにうっかり注油したらかえって動きが鈍るかもしれません。こういった豪華な物は「耐衝撃性・防水性」という機械としての視線では作られてないでしょう。「デザイン&装着感」が優先されるでしょうから仕方がない。

こうなるとこちらではお手上げ。メーカー修理しか無いでしょうが修理代金は10万くらいでしょうか。もう1本のエルメスは簡単でしたが、このChopardは後々の電池交換の度にも苦労する事になるでしょう。この電池交換で午前中の4時間を潰しましたが費用は今回「3.000円」としました。費用うんぬんより触ると神経を使い過ぎますね。でも、良い経験をさせて頂きました。

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